療育サポートガイドLDとは

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学習障害は勉強を始めてから症状として認識されるため、文字や数字を使うことの少ない幼少期や就学前に気づかれにくく、ひらがなの勉強を始めたり小学校に入学したりするまで分からないケースが多くあります。子どもの学習環境や成長のスピードには個人差がありますが、同世代の子供と比べて明らかに「読む」「書く」「計算する」などが苦手な場合は、一度専門的な医療機関や行政・児童福祉サービスにご相談するのも重要です。
学習障害は他の発達障害(注意欠如多動性障害、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害など)と重複している場合や、二次障害としてうつ病や不安障害を併発することもあります。それぞれの状況や特性に応じた対応・支援をすることが必要です。

LD(学習障害)について

LDはLearning Disabilitiesの略で、「学習障害」をいいます。文部科学省はLDを、「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。」と定義しています。
※「LD」「学習障害」は、2014年に「限局性学習症(SLD:Specific Learning Disabilities)」に名称が変更されました。

LD(学習障害)について LD(学習障害)について
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学習障害と発達障害

学習障害は発達障害の一つで、知的障害は見られず、“読む”、“書く”、“計算する”などのある特定の能力の一つまたは複数の分野において、理解や能力取得に困難が生じるのが特徴です。
幼児期に表れる特徴としては、言葉の発達の遅れや偏りが見られ、手先が不器用で運動が苦手などがあります。また、落ち着きがない、みんなと遊べない等の特徴が見られます。保育園や幼稚園では、知的な遅れがないのにはさみや折り紙、のりづけができない、ボタンのかけはずしがなかなかできないなどから、発見につながることもあるようです。
学齢期では、集団場面での指示理解の悪さ、基礎学力面のつまずき、学習態度面での問題(離席等)、整理整頓の悪さ、集団行動の困難性等が見られます。
学習障害の原因は脳の発達が通常と異なっていることが要因で、なぜ脳機能障害が起こるのかということは判明していません。様々な感覚を理解し、イメージとして統合する能力に問題があると言われています。文字とイメージが一致しないため、文字が何を表わしているのか理解できないのです。したがって学習障害は親のしつけや育て方が原因ということはありません。
なお、学習障害は4.5人に1人の割合と言われていますので、学校のクラスに1人か2人の計算になります。男性が8割と言われ、症状や程度も様々です。
発達障害には学習障害のほか、「注意欠如・多動性障害(AD/HD)」、「自閉症(アスペルガー症候群、広汎性発達障害など)」等があります。
学習障害、AD/HD、自閉症スペクトラムは併発することも多く、それぞれ似たような症状で明確な診断をしづらいのが特徴です。

学習障害の症状

学習障害は、知的な発達に遅れがなく、読み書きや計算などの一つまたは複数の分野の理解・能力取得に困難が生じます。つまり、特定の能力のみに障害があり、他の能力は正常ということです。障害のある特定の能力以外は、高い能力を持っている場合もあります。総合的には問題ないレベルであるにかかわらず、ある特定の能力だけ極端に劣るといった、バランスの悪さが特徴です。
例えば、算数の計算は他の子より速くできるし会話も流ちょうなのに、文章が読めない、字を書けない、というような具合です。
学習障害の症状や程度は様々ですが、主に以下のような症状が挙げられます。なお、以下のような症状が結果として社会性困難や多動等を併発させる場合があります。

言語能力の困難
言葉に詰まったり、単語の羅列、速度、発音等に不正確性が見られる、等
読字・書字の困難
文章を読む速度が非常に遅い、行や単語を飛ばして読んだり、逆に同じ部分を続けて読む、内容を誤って理解している、誤字脱字が非常に多い、句読点の使い方が不自然、漢字を正しく書けない、等
算数・計算の困難
簡単な暗算ができない、筆算で繰り上がりや繰り下がりができない、分数や少数の大小が理解できない、等
推論の困難
展開図の理解が困難、分量が比較できない、長さや重さの単位が扱えない、物事の流れや因果関係を理解できない、等
LDの症状 LDの症状
LDの症状 LDの症状

LDの分類

ディスレクシア(読字障害)
文字を読む能力の障害で、日本国内では、「失読症」、「難読症」などと呼ばれます。ディスクレシアは、よく似た文字が理解できない、文章を読んでいる時にどこを読んでいるのかわからなくなる、字を読むと頭痛がしてくる、上下逆さに読んでしまう、読んでも内容が理解できない、等の症状が見られます。
ディスグラフィア(書字障害)
文字を書く能力の障害で、ディスレクシアのような文字を読む能力障害はなく、「書く」能力だけに障害があります。黒板の文字を書き写すのが困難、鏡字を書いてしまう、作文が書けない、句読点が理解できないなどの症状が見られます。
ディスカリキュア(算数障害)
数字や記号を理解・認識できない、簡単な計算で暗算が出来ない(指を使わなければできない)、筆算における繰り上がりや繰り下がりが理解できない、数の大小の理解ができない、などの症状が見られます。
LDの分類 LDの分類
LDの分類 LDの分類

学習障害への対応方法

学習障害は知能に障害がなく、ある特定の能力以外は正常です。そのため、特定の分野においてできないことを、苦手分野、本人の個性、と考えてしまう場合が多く、きちんとした対応が遅くなりがちです。特定分野での対応が遅れると、他の正常な分野への悪影響が出てくる可能性があります。医学的疾患がなく、知能も正常で、学習努力もしているのに能力が著しく劣る、という場合は早めに専門機関に相談することが重要です。
学習障害は、障害が分かりにくいことから努力不足と思われたり、できないことを責められたりしてしまい、本人が自信をなくしたり、いじめや不登校につながることもあります。学習障害は正常な能力と特定の能力との差が大きい事から、本人の自尊心を傷つけないように対応することに留意する必要があります。
学習面では、遅れている箇所や分からない箇所を把握し、全て一度に教えるのではなく、少しずつステップアップさせながら指導します。
手本や板書の工夫、思考の過程を言語化する、ポイントを具体的に明記する、写真や絵を使う、等を工夫するなど、ケースに合わせて個別に注意喚起していくことが効果的です。
板書や教科書をノートに書き取ったり、読んだりすることが困難な場合には、ポイントとなる場所へ磁石を置くなどの視覚的工夫により、学習効果が上がります。
漢字の指導では、指書き→なぞり書き→写し書きという流れで、書き順を言いながら練習させるなど、聴覚や視覚に訴えながら学習していくことが効果的です。

LDへの対応方法 LDへの対応方法
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発達の遅れが気になるお子さま向け教室
ハビーの児童発達支援(対象:0歳から6歳までの未就学児)・放課後等デイサービス(対象:(小学生、中学生、高校生)は、児童福祉法に基づく障害児通所支援事業です。発達障害(注意欠如・多動性障害、学習障害、自閉症スペクトラムなど)や発達が気になるお子さまに、ひとりひとりの特性や発達段階にあった指導方法、専門的な学習、コミュニケーション指導など様々な支援を行っています。
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